1. 安全書類(グリーンファイル)とは
主に下請から元請へ提出します。グリーンファイル、労務安全書類とも呼ばれます。
「安全書類」「グリーンファイル」は、法令で定義された言葉ではありません。書類一式を緑色のファイルにまとめる慣習から、グリーンファイルと呼ばれるようになったと説明されることが多い呼び名です。
いちばん大事なのは、安全書類の中には、法令で作成が義務づけられた書類と、元請が現場の運用として求める書類が混ざっているということです。この区別がつかないと、出さなくてよい書類に時間を取られたり、本当に必要な書類を落としたりします。このページでは、条文で確認できたものだけを「法令で義務」に分けています。
2. 法令で作成が義務づけられた書類
建設業法で作成や通知が義務づけられている書類です。民間工事では、元請が特定建設業者で、下請代金の総額が税込5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の工事が対象です。公共工事では、下請契約を結べば金額を問わず対象になります。
| 書類 | 作る人 | 根拠 | その場で作る |
|---|---|---|---|
| 施工体制台帳全建統一様式 第3号 | 元請 | 建設業法第24条の8第1項 | 義務を判定して作る |
| 作業員名簿第5号・施工体制台帳の一部 | 作業員を送り出す各社 | 建設業法施行規則第14条の2 | 作業員名簿を作る |
| 再下請負通知書第1号-甲 | 工事をさらに下請に出した会社 | 建設業法第24条の8第2項、同施行規則第14条の4 | 通知書を作る |
| 施工体系図第4号(現場に掲示) | 元請 | 建設業法第24条の8第4項 | 体系図を作る |
| 施工体制台帳作成建設工事の通知第2号(現場に掲示) | 元請(下請もさらに下へ) | 建設業法施行規則第14条の3・第14条の4第2項 | 通知の書式を作る |
根拠:建設業法第24条の8、同施行令第7条の4(2025年2月1日施行の金額基準)、入札契約適正化法第15条
3. 元請の指定で求められる書類
次の書類は現場でほぼ必ず求められますが、その書面を作ること自体を法令が直接義務づけているわけではありません。法令が求めているのは、教育や点検といった行為と、その体制です。それを書面で確かめるための様式が、業界の慣行として定着しています。
| 書類 | 背景にある法令・指針 | その場で作る |
|---|---|---|
| 工事安全衛生計画書第6号 | 厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」の安全衛生管理計画 | 書式を作る |
| 新規入場時等教育実施報告書第7号 | 雇入れ時教育の義務(労働安全衛生法第59条)と、指針が示す教育結果の報告 | 書式を作る |
| 安全ミーティング報告書第8号 | 指針が示す、毎日の作業開始前の打合せ | 書式を作る |
| 持込機械等使用届・持込機械届済証第9号・第10号 | 定期自主検査・作業開始前点検(労働安全衛生規則)と、指針が示す事前の通知 | 書式を作る |
| 有機溶剤・特定化学物質等持込使用届第11号 | 化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任(労働安全衛生規則第12条の5・第12条の6) | 書式を作る |
これらは、提出先の元請がどの様式で求めるかがすべてです。着工前に、どの書式で、いつまでに出すのかを元請に確かめてください。
4. 誰が作って、誰に出すのか
- 元請:施工体制台帳と施工体系図を作ります。台帳は現場に備え置き、体系図は現場の見やすい場所に掲げます。下請には、施工体制台帳を作る工事であることを書面で知らせます
- 下請:自社の作業員の作業員名簿を作り、直近上位の注文者を通じて元請へ出します。工事の一部をさらに下請に出したときは、再下請負通知書を作って直近上位の注文者に出し、自分が出した相手にも「施工体制台帳を作る工事である」ことを書面で知らせます
再下請負通知書は、元請に直接ではなく自社が契約している相手に出します。二次下請が三次に出した場合は、二次が一次に出します。
5. いつ出すのか
- 再下請負通知書:工事の一部をさらに下請に出したとき、遅滞なく(建設業法施行規則第14条の4)
- 施工体制台帳作成建設工事の通知:元請が台帳を作る立場になったとき、遅滞なく(同第14条の3)
- 新規入場時等教育実施報告書:作業員がその現場の作業に就く前
- 持込機械等使用届:機械を持ち込む前
そのほかの書類の提出時期は元請の指定によります。多くの現場では、着工前や現場に入る前にまとめて求められます。
6. 保存期間
施工体制台帳は引渡しまで現場に備え置き、そのあとは技術者と下請負人に関する部分を、引渡しから5年間保存します(住宅の新築工事は10年間)。施工体系図は引渡しから10年間です。作業員名簿の部分は法定の保存対象ではありませんが、同じ期間そろえて保存するのが安全です。電子データでの保存も認められています。
根拠:建設業法第40条の3、同施行規則第14条の7・第26条・第28条 保存期間の詳しい説明
7. 様式は全建統一様式が基本
法令で決まった統一書式はありませんが、全国建設業協会の「全建統一様式」が業界の標準として広く使われています。現在の最新版は改訂第6版(令和6年10月改定)で、押印欄が大幅に削除されました。元請が独自の様式を指定している場合は、そちらが優先です。
8. よくある誤解
- 「安全書類は、すべて法律で義務づけられている」法令で作成が義務づけられているのは、施工体制台帳・作業員名簿・再下請負通知書・施工体系図などに限られます。安全衛生計画書や教育の報告書などは、元請の指定で求められる書類です。
- 「押印が必要」全建統一様式は改訂第6版で押印欄が大幅に削除されました。押印の詳しい説明
- 「作業員名簿には現住所が必要」現住所は、法令で定められた作業員名簿の記載事項に入っていません。住所の詳しい説明
- 「施工体制台帳は下請総額4,500万円から」2025年2月1日の改正で、5,000万円(建築一式工事は8,000万円)に引き上げられました。金額基準の詳しい説明
- 「作業員名簿も5年保存が法律の義務」法定の5年保存の対象は、施工体制台帳のうち技術者と下請負人に関する部分です。
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