1. 作業員名簿に現住所は必要ですか
現住所は、建設業法施行規則で定められた作業員名簿の記載事項に含まれていません。
2021年に国土交通省が示した作業員名簿の作成例には、住所や電話番号の欄がありません。一方、現場で広く使われている全国建設業協会の統一様式は、法令の記載事項より項目が多い詳細版です。
他社の従業員の住所は、集めれば管理する責任が生じます。法令で求められていない項目を集めないという判断には、合理性があります。実際、住所欄のない様式を配布するサービスも出てきています。
元請から住所欄のある様式を渡されている場合は、その様式に従ってください。判断に迷うときは、提出先に確認するのが確実です。
根拠:建設業法施行規則第14条の2第4号/国土交通省が示す作業員名簿の作成例
住所欄のオン・オフを選べる作業員名簿ツールを使う2. 押印は必要ですか。廃止されたと聞きました
全国建設業協会の統一様式は改訂6版で押印欄がなくなり、記名のみで提出できます。
政府全体の押印廃止の方針を受けたもので、事業主印や現場代理人印を押す欄が様式から削除されました。同じ改訂で、外国人建設就労者に関する専用の記載項目も削除されています。受入事業そのものが2023年3月末で終了したためです。
古い様式を使い続けていると、廃止されたはずの欄が残っていることがあります。手元のExcelがいつダウンロードしたものか、一度確認する価値があります。
根拠:全国建設業協会 統一様式 改訂6版
3. 誰が作って、誰に出すのですか
元請が全員ぶんをまとめて作るものではありません。自社の作業員については自社が作成します。二次下請であれば、自社の作業員名簿を一次下請へ渡し、一次下請がとりまとめて元請へ提出する流れになります。
作業員名簿は、令和2年の国土交通省令の改正により施工体制台帳の一部と位置づけられました。台帳の添付書類ではなく、台帳そのものの一部です。
根拠:令和2年国土交通省令第69号/建設業法施行規則第14条の2
施工体制台帳の作成義務があるか判定する4. 保存期間は何年ですか
施工体制台帳の一部として保存が求められます。起算点は工事の完了ではなく引き渡しの時です。電子データでの作成と保存も認められています。
紙で保管する場合、5年ぶんの書庫が必要になります。電子で残せるなら、そのほうが場所も探す手間も減ります。
根拠:建設業法第24条の8/建設業法施行規則第14条の7
5. 個人情報はどこまで書くのですか
作業員名簿には、他人の個人情報が並びます。氏名、生年月日、年齢、職種、社会保険の加入状況。これらは記載事項として定められています。
一方で、住所や保険証の記号番号は、法令の記載事項ではありません。集めた情報は管理する責任が生じ、漏れれば自社の信用に直結します。求められていないものを集めない、というのは実務上も合理的な判断です。
提出後の書類が現場事務所でどう保管されるかまでは、提出する側からは見えません。だからこそ、渡す情報を必要な範囲に絞る意味があります。
根拠:建設業法施行規則第14条の2第4号
6. 建設キャリアアップシステムの技能者IDは必要ですか
建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録している技能者について、技能者IDを記載する欄が様式に設けられています。事業者ID、現場IDも同様です。
登録していない作業員について、無理に何かを書く必要はありません。空欄のままで問題ありません。
CCUSの欄を出し入れできる作業員名簿ツールを使う7. 労働者名簿とは違うものですか
作業員名簿は建設業法にもとづき、その現場に入る人を明らかにするための書類です。提出先は元請になります。
労働者名簿は労働基準法にもとづき、自社が雇用している人を記録するために事業場ごとに備え付けるものです。提出先はなく、自社で保管します。
目的も提出先も違うため、どちらか一方があればよいというものではありません。
根拠:建設業法施行規則第14条の2/労働基準法第107条
8. 施工体制台帳はいくらから作成義務がありますか
公共工事では、下請に発注した時点で金額にかかわらず作成義務が生じます。作成した台帳と添付書類の写しを発注者へ提出する義務もあります。
民間工事の金額基準は、2025年2月1日施行の建設業法施行令の改正で引き上げられました。それまでは4,500万円(建築一式は7,000万円)でした。古い金額を載せている情報が残っているので、注意が必要です。
根拠:建設業法第24条の8/公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条/2025年2月1日施行の建設業法施行令の改正
3つ答えるだけで作成義務を判定する記載の誤りにお気づきの場合は、info@anzenshorui.com までお知らせください。内容の誤りのご指摘は最優先で確認します。